摂りすぎは体の不調を招く?【大豆油】の基礎知識

サプリメントマイスター/食用オイルソムリエ
40代男性、定期的に運動をしているにも関わらず健康診断でLDLコレステロール値が下がらなかったことをきっかけに油・脂習慣に注目し始める。食用オイルソムリエ、サプリメントマイスター資格を取得し、本サイトの編集長として専門性、信頼性のある情報発信を目指す

1. 大豆油の基本情報

大豆油イメージ写真

皆さん大豆油というとピンとこない人も多いと思いますが、サラダ油というとイメージが湧くのではないでしょうか?日本では長らく大豆油をベースとしたブレンドのサラダ油が消費量のTOPでした。※大豆油として単体での販売はなかなかされていません。

大豆油はリノール酸(オメガ6脂肪酸)が豊富に含まれており、現在世界で2番目に多く利用される植物油です。
※1位はパーム油
※大豆油1位の消費国は中国(2018年)

独特のうまみとコクをもち、他の植物油とブレンドされて「サラダ油」や「天ぷら油」として利用されるのが一般的です。現在はほとんどが国内で生産していますが、原料となる大豆はほぼ100%を輸入しています。その主な輸入先はアメリカとブラジルです。

大豆油はごま油やオリーブオイルとは違って、基本的に精製工程が必要となる油です。
※搾っただけでは色やロウ分が多くて見た目も味も悪いのです。
なので、その過程での混合物や高温による処理を考えると基本的にはあまりおすすめできません

さらに、基本的にリノール酸オレイン酸での構成のため、どんなに「健康に良い!」といううたい文句があっても摂り過ぎには厳重注意が必要です。
リノレン酸(オメガ6脂肪酸)の摂りすぎによる弊害はこちらの記事をご覧ください

参考記事偏りがちな必須脂肪酸!オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の適切なバランスは?

しかしながら、後述しますが圧倒的な生産量と消費量を誇る油ですので、大量生産や2次利用価値により、価格設定が安いことでの普及率を考えると知らず知らずに口にしている機会が多い油と言えるでしょう。

日本では2000年から2015年の15年で大豆油は4割近く減少しており、その代わりに菜種油とパーム油が増加しています。減少の理由として、

・家庭用におけるサラダ油(大豆油メイン)からキャノーラ油(菜種油)への需要シフト
・業務用の大豆白絞油一辺倒から、菜種油(キャノーラ油)の活用が広がった事(これは影響大です)
・加工油脂におけるトランス脂肪酸の低減を背景に大豆硬化油の使用が激減した(代わりにパーム油が激増している)事などが理由となります。

しかし、実は大豆油の減少背景は上記のような国内ニーズの問題だけではないのです!この続きは下のうんちくコーナーでお伝えしたいと思います。

2. 大豆油の年間供給量

大豆油集合写真
大豆油の供給量:401,187トン(日本の植物油では3位の供給量)
2015年 農林水産省「油糧生産実績調査」 財務省「通関統計」
海外からの輸入がわずか9,075トンなので、ほとんどが国内での生産です。
2000年の総供給量は695,241トンなので生産量はこの15年で40%減!
300,000トンも減るという驚異的な減少傾向を見せています。

大豆油年間供給量2014参照:2015年 農林水産省「油糧生産実績調査」 財務省「通関統計」

3. 大豆油の含有脂肪酸

大豆油の各脂肪酸比率参考:日本油脂検査協会

リノール酸オレイン酸約80%という典型的な植物油の脂肪酸構成です。
※他はパルチミン酸(C:16)/12%、ステアリン酸(C:18)が3%、リノレン酸(C:18)も7%ほど含有しています。
リノール酸が大半(55%)なので摂り過ぎには注意が必要です!

4. 大豆油の精製方法

精油度合いによる油脂の分類(食用植物油の精製方法による名称)
原材料に由来の名称 精製しない油
(浮遊物除去のみ)
精製油
(脱酸・脱臭・脱色)
サラダ油
(脱ワックス)
大豆油 精製大豆油 大豆サラダ油
なたね油(キャノーラ油) 赤水 精製なたね油 なたねサラダ油
ごま油 ごま油(焙煎) 精製ごま油 ごまサラダ油
オリーブオイル バージンオリーブオイル 精製オリーブオイル
こめ油 精製こめ油 こめサラダ油
調合油(2つ以上の油を混合) 調合サラダ油

低温圧搾法(コールドプレス)、圧搾法、溶剤抽出法
大豆の油分は20%未満と少ないため、多くは溶剤抽出法が使われます。
なので、家庭で使う際には低温圧搾法のものを選びたいです。なかなかありませんが・・・

5. 大豆油のうんちく

日本で生産される大豆油の原料(大豆)はすべてが輸入品であり、シカゴ市場(大豆マーケット)で形成された価格が基準になって輸入価格が決定します。

大豆油の生産量が減少を続けている背景には、国内のニーズ減少等もあるのですが、それよりも原料である大豆価格が高騰を続け、菜種油に比べて収益条件が悪化している事も大きな減少要因の一つです。

価格高騰の原因は不作等もありますが、大きな点ではお隣中国の経済成長があります。
2001年、世界での大豆を輸入する割合は、大豆の輸入量は中国が19%で日本が9%でした。

それに対して2015年は世界での大豆を輸入する割合は、中国が61%、日本が2%となっています。そもそも、昔の中国は世界第4位の大豆生産国でした。1990年代半ばまでは大豆の純輸出国(輸出量が輸入量を上回る国)だったのです。

しかし、経済成長に伴い、油や肉類に対する需要の増加に伴って、たんぱく質飼料の原材料となる大豆ミール(家畜用飼料)の需要が増加したのに対し、大豆の国内生産は停滞気味になったため(経済成長に伴う農業人口の減少)、膨大な需要を満たすために大豆をはじめとする油糧種子や植物油を大量に輸入することになりました。
※日本が約40万トンに対して、中国は約1,100万トンの大豆油の消費量!(28倍の大豆油の消費量/人口は12~13倍程度)
参照:資料:ISTA  Mielke社「Oil World」2016年報

このような外的要因(他国の需要に伴う価格高騰)に加えて、日本国内の事情も加わりました。

あまり知られていませんが、大豆は油を取るためだけに輸入しているわけではなく、油を搾った後にもニーズがあります。それが家畜飼料(配合飼料)としての活用法です。まさに一粒で2度も3度も美味しいのが大豆なのです。

関連記事捨てた油が飼料になる!?植物油と畜産業との蜜月関係

大豆ミール(粕)の主な用途である家畜飼料(配合飼料)の生産は、家畜飼料への大豆ミールの配合率は2010年に14%を超え、大豆ミールは重要な家畜飼料原料の一つとして現在でも活躍中です。ニーズの理由としては家畜を太らせるのに適しているためです。※これは人でも一緒です。

日本の2010年の大豆ミール(粕)輸入量は史上最高の220万トンでした。

国内の大豆ミール生産量(大豆を輸入して、油を搾ったあとのもの)は、大豆の搾油量の激減に伴い185万トンであったため、総供給量に占める輸入ミールの割合が54%に高まりました。※2010年合計:220万トン(輸入)+185万トン(国内)=405万トン(全体)
※2000年は280万トンが国内で大豆を輸入後に油を搾った大豆ミール(粕)に対して、大豆ミール(粕)そのものの輸入量は約65万トン程度でした。割合としてはわずか19%です。※2000年合計:65万トン(輸入)+280万トン(国内)=合計:345万トン(全体)

2001年、初の狂牛病(BSE)の発生が確認され、動物の肉骨粉を家畜飼料に利用することが制限されたことに伴って、代替する蛋白資料として大豆ミールの需要が急増することとなりました。このため、大豆の圧搾数量が急増し、2003年には大豆油の生産量が76万トンに達しましたが、日本国内での大豆油の需要は併行して増加しなかった事から、2004年以降大豆の圧搾数量は、2001年以前の水準以下に減少することとなり、今日までその傾向が続いています。

これらの事からわかるように、大豆は2回目以降の収益化(油や飼料)が出来ないと、中国のニーズが強い現在の輸入額だと採算が取りづらいという事なのです。飼料のニーズはあるものの、油としてのニーズが弱っているので、それだと企業としてはおいしくないので、輸入価格が上がっているとはいえ採算の取りやすい菜種油の方が伸びているというわけなのです

大人の事情で我々の台所事情も変わっていくのですね。

大豆油の栄養素や効能、選び方とオススメ商品について知りたい方は、ぜひこちらの記事も合わせてチェックしてみてください。

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