
1. ごま油の基本情報
ごま油は日本人にとっては馴染みの深い植物油です。ごまは他の油糧種子に比べ油分が高いことから、強く圧搾する(搾る)ことによって油が採取できるので、昔から(通説では奈良時代から?)日本ではごま油が使用されていました。
昔は、ごま油も他の植物油と同じくお灯明の灯油※電気のない時代の灯りですね。として用いられるのが一般的だったようで、他に革製品や繊維製品の塗料として使われていて、食用に利用できるのはごく限られた地位の人達だけだったようです。高級品という事ですね。
ごま油というと、焦げ茶の色をした油を思い浮かべますよね?
しかし、それだけではなく普通のサラダ油と同様に無色透明のごまサラダ油も作られています。
おなじみの焦げ茶色のごま油は、焙煎したごまを圧搾して得られるもので、焙煎によって独特の香りと色を持つようになります。
※なので、焙煎をしない生のごまを搾って作ると色の薄いごま油が出来ます。
これに対し、ごまサラダ油は、焙煎しないごまを圧搾・抽出して得られた粗油を、大豆油や菜種油と同様に精製して他の植物油とブレンドして作られます。
ごま油の原料となるごまの輸入先はアジア、アフリカ、中南米諸国など広範囲にわたっています。
現状では、ごま油を作る為のごま油糧種子はその99%以上を輸入に頼っています。
国内で生産していて輸出までしているごま油ですが、原材料はほぼ全て輸入しているのが日本のごま油の現状なのです。
2. ごま油の年間供給量
ごま油の供給量:40,763トン(日本の植物油では8位の供給量)
2015年 農林水産省「油糧生産実績」 財務省「日本貿易統計」
※内、国内搾油が約45,441トン、海外への輸出が4,678トン。差分の国内供給が上記となります。
2000年の日本国内の年間供給量は38,700トンなので消費量はこの15年で微増しています。
世界でみても、一人あたりのごま油消費量は日本がTOPで中国、インドがそれに続くという形です。植物油の消費大国であるアメリカや南米、欧州ではほとんどごま油は使用されていません。
日本人はごま油が好きなのですね。(私も大好きです!)
日本植物油協会 – ISTA Mielke社「Oil World誌」「3.1 1人当たり消費量の世界比較」
参照:2015年 農林水産省「油糧生産実績調査」 財務省「通関統計」
3. ごま油の含有脂肪酸
参考:日本油脂検査協会
リノール酸とオレイン酸で約84%という典型的な植物油の脂肪酸構成となっています。
※他は飽和脂肪酸であるパルチミン酸(C:16)とステアリン酸(C:18)がメインで構成されています。
リノール酸を多く含むので美味しいからといっても摂り過ぎには注意が必要です。
4. ごま油の精製方法
原材料に由来の名称 | 精製しない油 (浮遊物除去のみ) |
精製油 (脱酸・脱臭・脱色) |
サラダ油 (脱ワックス) |
---|---|---|---|
大豆油 | – | 精製大豆油 | 大豆サラダ油 |
なたね油(キャノーラ油) | 赤水 | 精製なたね油 | なたねサラダ油 |
ごま油 | ごま油(焙煎) | 精製ごま油 | ごまサラダ油 |
オリーブオイル | バージンオリーブオイル | 精製オリーブオイル | – |
こめ油 | – | 精製こめ油 | こめサラダ油 |
調合油(2つ以上の油を混合) | – | – | 調合サラダ油 |
低温圧搾法(コールドプレス)、冷搾法、常温での圧搾、高温圧搾法、溶剤抽出法
焙煎したごま油は、粗油を濾過して不純物を除去するだけで精製は行いません。そのため独特の香りがするのです。ごま油もオリーブオイルも容器の底におりがたまることがありますが、それが精製をしていないごま油の特徴です。
5. ごま油のうんちく
ごまというと健康効果(抗酸化作用)が高いと言われる「セサミン(セサミオイル)」が有名ですが、ごま油からどれほど摂取できるのか?またそれが体内で有効であるのか?
という証明ができた実験はいまのところないようです。残念・・・
空気中での実験では抗酸化作用が確認できたらしいですが、人体内は水分がメインなので、空気中での数値がそのまま当てはまるわけではないようです。
また、抗酸化作用があると言われているセサモールは焙煎によって発生しますので、茶色のごま油には含まれます。低温圧搾の白ごま油は、一度100℃くらいまで熱することによってセサモールが発生します。白ごま油もそのまま搾っている訳ではなく、手間ひまかけて作っているのですね。
日本で人気がある為、ラインナップも豊富で手に入りやすのもごま油の特徴です。
原材料や製造方法、容器等各メーカーさんによって様々な特徴があるので、是非いろいろなごま油を比較して試してみてください!
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