捨てた油が飼料になる!?植物油と畜産業との蜜月関係

サプリメントマイスター/食用オイルソムリエ
40代男性、定期的に運動をしているにも関わらず健康診断でLDLコレステロール値が下がらなかったことをきっかけに油・脂習慣に注目し始める。食用オイルソムリエ、サプリメントマイスター資格を取得し、本サイトの編集長として専門性、信頼性のある情報発信を目指す

1. 油は畜産業の賜物??

日本の食卓において消費量のTOPは菜種油(をベースとしたサラダ油)ですが、実は食用油畜産業にはとても深い関係があります。

そもそも食用油がこれだけ普及した背景には、
・日本人の食生活の欧米化により肉の消費量&ニーズが増えた
・それに応えたい畜産業の(配合)飼料のニーズが大きくなった
・経済成長により円が強くなり、配合飼料の原材料が輸入しやすくなった
・輸入した原材料は搾ると食用油が製造できる
・肉&油が安価に提供できるようになり、益々肉食文化が広がっている
※日本は世界で2番目にマクドナルドが多い国になりました。(2017年時点)

というような流れが深く関係しています。

家畜用の配合飼料として主に使われる「トウモロコシ・大豆・菜種」などは同時に油糧種子(植物油の原料)でもあり、油を製造した後の副産物家畜用の配合飼料という訳なのです。

という事で、以下の植物油の消費量の増加は=畜産業の成長(日本人の食肉の消費量増)と大きく関わっているのです。

日本の植物油消費量の推移

2. 魚より肉!日本の食肉消費量急増

日本人の食生活はこの 50 年余りで大きく変化しました。

1960年には1人/1年当たりの食肉(牛肉・豚肉・鶏肉)供給量はわずかに3.5kg/1日1g以下でしたが、2013年はその 8倍強の30 kg/1日83gとなりました!!
※植物油の消費量が4倍強なので、その増加量はかなり密接にリンクしています。

一方、日本人の主食である米は115kgから57 kgに、魚介類は 28 kgから 27 kgにとそれぞれ減少しています。※参照:農林水産省「食料需給表」

日本人は従来魚と穀物をメインに食べていましたが、食の欧米化が進んだ事から、食肉をより多く消費するようになりました。

また、日本の食肉消費の形態として、 30 年ほど前までは家庭で生肉を購入し、調理することが主流でしたが、近年は特に牛肉や鶏肉に関しては、その調理のしやすさ等も手伝って焼肉やファストフードなどの外食や持ち帰り惣菜などにおける消費が増え、供給量の約6割を占めるようになっています。
(そういえば、子供の頃に比べて圧倒的に外食の店はこの30年で増えました。)

3. 家畜を育てるエサと油の関係

日本の食肉(牛肉・豚肉・鶏肉)の自給率はおよそ50%ですので、半分は輸入していますが、半分は国内で畜産したものになります。家畜を育てるには当然ながらエサが必要になります。
※畜産業の原価に占めるエサ代は非常に大きい割合です。

家畜のエサは大きく二つに別れます。
・牧草や青刈り作物などからなる粗飼料※(自給率は 80%弱程度)と
・家畜を飼養するために、その動物に合わせて原材料を調合して作られた飼料(配合飼料)
※(自給率/原材料の国産割合)は10%程度。

昔は、日本の畜産は粗飼料と残飯等だったのですが、品質の安定した畜産業を行うためには配合飼料のほうが優れていて、日本経済の成長にともない、相対的に配合飼料の価格が低下したため(円が強くなった為)、残飯等を飼料として利用するシーンは激減しました。

同じ1匹を安定して大きくするという事が畜産業を営む方の収入も安定し良くなるので、現在はこの粗飼料と濃厚な配合飼料を織り交ぜながら飼育するという方法が主流となっています。

この配合飼料のメインどころがトウモロコシ・大豆・菜種等油が作れる原材料なのです。

飼料のトウモロコシ

トウモロコシ:全ての家畜に対して優れた飼料原料で、配合飼料中の約半分を占める原料。

飼料の大豆大豆油粕

大豆油かす:大豆から搾油した残渣を乾燥したもの。栄養価、嗜好性ともに油かす類で最も優れ、配合飼料の重要なたんぱく質供給原料。すべての家畜に使用可能。

飼料の菜種菜種油粕

菜種油かす:菜種から搾油した残渣を乾燥したもの。大豆油かすに次ぐ植物性たんぱく質供給原料として使用されています。

植物油の供給量2014年,大豆菜種のほとんどが輸入に依存

大豆油と菜種油の原材料は国内での生産はほとんどなく、90%以上を海外からの輸入に依存しています。その輸入原材料をもとに国内で製造・販売しています。
・菜種油の原料はほぼ100%をカナダから輸入しています。大豆油原料は主にアメリカとブラジルから輸入しています。
・遺伝子組み換え物を大量に輸入している。
(日本が国として許可している遺伝子組み換え食品原料は大豆・トウモロコシ・菜種・綿実他   全9種類)

4. 家畜飼料として再利用される廃油

現代社会では日々大量の油が消費されていますが、飲食店やコンビニで使用された使用済みの油はどうなると思いますか?
ファミレスやコンビニには「回収業者」の方々がきて使用済みの油を回収していきます。

ただし、粗大ごみの様にお金を払って回収してもらっているのではなく、逆にお店側がお金をもらって使用済みの油を回収させてあげている。という構図になっているのです。

廃食用油リサイクル缶

こういうのがおいてあります

実は油はリサイクル用途が高く、廃棄するはずの油にも様々な使いみちがあります。その中でも特に多いのが「畜産の飼料原料」としての再利用なのです。

養鶏・養豚・養牛、などの畜産蓄養の飼料原料として各種の植物性原料や動物性原料を使用しますが、それら原料だけでは補えないカロリー源として、回収油脂(リサイクル油)が使われています。

廃食用油回収業界の70%以上の油脂が飼料用油脂原料として用いられていると言われています。

リサイクル油で飼料を作って大丈夫?と思いますよね。
(品質管理は当然に行われているらしいのですが)

豆や菜種を輸入して、油を搾り(製造して)、その搾りカスをエサにして、家畜を育てる飼料として使い、その家畜の肉を調理するために油を使い、その使用した油を使い終わったら再度加工してまた家畜のエサにする。
なんとも実に良く出来ているのが現在の「油産業」と「畜産業」の関係なのです。

次に、そのように回収した油がどのようにして再利用されるのかの流れを見てみましょう。

①    回収/廃油を回収
②    沈殿/タンクに投入し、80℃に加熱して、48時間置
③    分離/水分、不純物、油に分離させる
④    選別/油を抜き取り、水分と不純物は処分
⑤    精製/油を遠心分離機などに通して精製処理
⑥    分析/試験室で品質の分析管理
⑦    製品/製品タンクに貯蔵
⑧    出荷/クライアントへ飼料油を出荷

廃油を回収後、ある程度加熱して、放置して、分離機で分離させるというそれだけなのです。

近年、安い食肉が増えたなー。という印象を35歳~は思う方も多いのではないでしょうか?※僕が子供の頃の肉はちょっとした高級品だった記憶があります。。

もちろん、輸入の自由化の側面もありますが、より効率的に育てるための飼料の改善という側面も見逃せないポイントだと私は考えます。

商魂たくましいというかなんというべきか、本当にまったく無駄がなく沢山の人々(海外での大豆や菜種生産者の人も含む)のサイクルの中心を油が支えているのがわかっていただけたと思います。

5. まとめ

いかがでしょうか?
スーパーやコンビニで所狭しと並んでいるサラダ油ですが、それが畜産業のおかげで安い価格で提供されている。
というのは中々一般消費者ではわからない事実という事ですね。

一時期、このような飼料の製造方法の危険性が指摘されたことがありました。
業界では慌てて安全性の検査が行われたらしいのですが、輸出国や製油業界にとって大きい財源であるため、結局あいまいな検査で終わり、いまだに肉と油というゴールデンコンビの消費は増え続けています。

また、家畜飼料としては大豆かすより菜種カスのほうが有害であるという事はわかってはいるのですが、近年、大豆油の需要が減少&輸入価格が中国の台頭で高騰しているため、製油業者・畜産業者の利潤を考えれば菜種カスの割合がどうしてもふえているのも実情なのです。

どこまで神経質になるかは個人の自由ですが、口に入れるものなので意識していきたいですね。

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