危険な油!?トランス脂肪酸って何が体に悪いの?

サプリメントマイスター/食用オイルソムリエ
40代男性、定期的に運動をしているにも関わらず健康診断でLDLコレステロール値が下がらなかったことをきっかけに油・脂習慣に注目し始める。食用オイルソムリエ、サプリメントマイスター資格を取得し、本サイトの編集長として専門性、信頼性のある情報発信を目指す

1. トランス脂肪酸の基礎知識

トランス脂肪酸は、脂質の主な構成成分である脂肪酸の一種です。

植物油などからマーガリンやショートニングなどを製造する際や、植物油の精製工程である高温での脱臭をする際に生じます。(多くの植物油には高温にして匂いを飛ばす工程があります。)

自然な植物油に含まれる不飽和脂肪酸は、炭素の二重結合を中心に二つの水素が、それぞれ1個ずつ同じ片側に並んでいます。

オメガ6脂肪酸の構造イメージ図

これを同じ側を意味するシスという語源からシス型脂肪酸と言います。

そのシス型脂肪酸に水素添加をして片方の水素を反対の方向に移動(トランス)します。植物油からマーガリン等の加工油脂を製造する場合、水素添加をして片方の水素を反対の方向に移動(トランス)します。

水素が反対方向へ移動することによってシス型脂肪酸がトランス型脂肪酸へ変化

これをトランス脂肪酸と呼びます。この時点でかなり人工的な脂肪酸であるということはわかっていただけますよね?

トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸(植物油)を加熱して、水分を蒸発させ脂肪を凝固させたもので、もとは不飽和脂肪酸(植物油/液体)だった油を飽和脂肪(個体)の形へと作り変えたものをそうよんでいます。

2. なんでトランス脂肪酸を作るの??

トランス脂肪酸自然には殆ど存在しない

トランス脂肪酸は人工のもので自然には存在しないのですが、なぜこのようなものを作るか?というと、その一番の理由は収益性です。

トランス脂肪酸は人工的なものであるがゆえに加工油脂とよばれるものに多く含まれています(マーガリンやショートニングは商品によりますが、脂肪分のおよそ10~15%がトランス脂肪酸で構成されています。また、先述したように安価な植物油もその精製工程で高温処理する際にトランス脂肪酸が発生します

なので、トランス脂肪酸を多く含む製品を作ろうと思っている訳では無いと思いますが、経済的に収益性の高いものを作ろうとすると(長い保存期限安価な精製方法を優先しようとすろと)、結果的にトランス脂肪酸が発生してしまうという事なのです。

3. 【知らないほうがいいかも?】トランス脂肪酸の人体への怖い影響

トランス脂肪酸が怖いのは細胞膜にダイレクトに悪影響を及ぼすということです。

細胞膜は、細胞と細胞を仕切るだけではなく、

  • 細胞に必要な酸素や栄養を吸収する
  • 細胞内で発生した老廃物を排除する
  • 細胞同士で情報を伝達する

など生命活動に欠かせない大切な役割を担っています。

このような重要な細胞が全身でおよそ60兆個も存在し、筋肉や骨、内臓、神経、血管血液などすべての体組織は細胞が基本となって体を構成しています。

全ての細胞膜は脂質で構成されていますが、トランス脂肪が入り込むと、必須脂肪酸が役割を果たせなくなるので、細胞膜の構造や働きが不完全となってしまいます。

また、食事でトランス脂肪を取り込むと、体はそれを分解し代謝しようとします。

しかし、トランス型になった脂肪酸は不自然であるがゆえに分解代謝するには時間がかかり、大量のミネラルやビタミンを消耗して体に大きな負担を与えます
※特に肝臓を中心に多大な負荷を体にかけますので、多量の飲酒との掛け合わせは体にとって最悪です。(飲酒×ファーストフードやコンビニの揚げ物とかはもう最悪です)

また、なんとかトランス脂肪を分解・吸収してもトランス脂肪酸自体は何にも体の役にたちません。※栄養素はありません

そればかりか、体内に蓄積されやすく、老化やガンの原因になる活性酸素を大量に発生させたり、他の良質な脂肪酸の機能を妨げたり細胞に障害を起こす様々な悪い働きをします。

その結果、細胞自体の働きが弱くなり、細胞の生命活動に必要なものが流出していき、逆に有害物質が侵入して細胞が壊れていきます

この状態が全身の細胞で起こると健康状態を保つことは困難になっていきます。

さらに、トランス脂肪酸は血液をドロドロにしてしまう恐れがあります。

植物油に水素を添加して常温で固形化しているということは、融点を常温より高くするわけですから、加熱しなければ溶けません。
私達人間の体温よりも融点が高くなるので、いくらサラダ油を使っているとはいえ、結局は体内でも固まりやすく、血液をドロドロにしてしまう原因になるのです。

4. 厚生労働省のトランス脂肪酸に対するスタンス

では、日本で「健康・医療、子ども・子育て、福祉・介護」における最高意思決定機関である厚生労働省はトランス脂肪酸に関してどのような見解を出しているのでしょうか?抜粋しながらですが紹介していきたいと思います。

Q.2  トランス脂肪酸はどのような食品にどのくらい含まれていますか?

A2   トランス脂肪酸の含有量は、原料の違いや加工方法の違いにより異なります。平成18年度に食品安全委員会が実施した調査では、マーガリンでは平均7.0g/100g、ビスケット類では平均1.8g/100g、ショートニングでは平均13.6g/100g、コーン系スナックでは、平均1.7g/100gなどです。
なお、平成22年度にマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングを検査したところ、トランス脂肪酸の含有量は減少傾向が認められました。

厚生労働省HP トランス脂肪酸に関するQ&Aより

外食等の影響を検討するため、(中略)ハンバーガー、ピザ、洋食、中華及び和食の五つに区分し、各区分につき 10 試料中のトランス脂肪酸含量が分析された。この結果、ハンバーガー、ピザ及び洋食に区分される食品は、一食に含まれるトランス脂肪酸含有量が多い傾向があり、0.5g/一食を超える量のトランス脂肪酸が含まれるものがあった。

一食当たり
ピザ :最大2.2g/平均1.1g
ハンバーガー:最大1.6g/平均0.7g
洋食:最大1.9g/平均0.8g

食品に含まれるトランス脂肪酸(内閣府食品安全委員会、食品健康影響評価)

※表 9 外食食品中のトランス脂肪酸含量(平成 20 年度)(参照 49)

ここで、重要な考察としては、具体的な例は出さずに計算をしいているという点です。どういう事かというと、ここでの最大値や平均値はあくまでも一食あたりとして計算されており、おそらく200g~250g(ちなみにマクドナルドの普通のハンバーガーは約110gなので、あれを2個の計算です。)程度をプレーンな状態で計算していると思われます。(ちなみにマクドナルドの普通のハンバーガーは約110gなので、あれを2個の計算です。つまりポテト等のトッピングはまったく加味していない計算となっているでしょう)

ここにその他のトッピングが加わるとトランス脂肪酸の量は大きく跳ね上がることは容易に想像が出来ますよね。

Q.3 トランス脂肪酸は健康によくないのですか?

A.3
平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国の研究結果によると、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされています。また、肥満やアレルギー性疾患についても関連が認められていますが、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、認知症などについての関連は分かっていません。
こうした研究結果は、トランス脂肪酸の摂取量が、平均的な日本人よりも相当程度多いケースの結果であり、平均的な日本人の摂取量においては、これらの疾患リスクとの関連は明らかではありません。

厚生労働省HP トランス脂肪酸に関するQ&Aより

諸外国では「上記のような病状や疾患に関係がある」と断定されているにも関わらず、厚生労働省はあくまでもを中心に論じられており、関係がないとは言ってませんし「分からない」との見解です。国民の健康を守る機関にしては随分とあいまいですよね。

これは私の所感ですが、「本来、少しでも危険なら規制はすべきですよね?しかし、それをしないのは、規制をすると困る人がいてその人達と厚生労働省(お国)の利害が一致するためこのような見解になっていると推察をしています。

Q.4 日本人はどの程度トランス脂肪酸を摂取していますか?トランス脂肪酸の目安量はどのくらいですか?

A.4
(前略)日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、平均値で、総エネルギー摂取量の0.3%であることが分かっており、(中略)総エネルギーの1%のトランス脂肪酸の量は、年齢、性別などにより異なりますが、1日当たり約2グラムに相当します。

厚生労働省HP トランス脂肪酸に関するQ&Aより

これははっきり言いますが、2g以下なら摂取してもOK!ということではなく、極力摂らないほうが当然体には良いです。繰り返しですが自然界には存在しないものでプラスチックを食べているのと同義ですから

厚生労働省(お国)はいろいろとまぶした言い方はしていますが、諸外国よりだいぶ甘めにトランス脂肪酸を定義付けていることがわかりますね。

他にも折角なので、各省庁からのトランス脂肪酸に関する発表も併せて紹介をしておきます

参考サイト消費者庁/トランス脂肪酸に関する情報

参考サイト農林水産省/トランス脂肪酸に関する情報

5. 私達の身近な食品のトランス脂肪酸含有量

では、実際に普段私達が口にしている食品はどのくらいのトランス脂肪酸を含んでいるのか見てみましょう。

食品中のトランス脂肪酸(100gあたり)
カテゴリ 商品名 重量 100gあたり 実際に食べた際の摂取量
マーガリン 雪印ネオソフト 180g 4.18g 0.33g (食パン1枚/8g使用)
明治コーンソフト 470g 9.04g 0.72g (食パン1枚/8g使用)
小岩井マーガリン 225g 1.47g 0.12g (食パン1枚/8g使用)
ショートニング 日清とっても便利なショートニング 120g 14.7g 4g (クッキー25g×4個)
加工食品 マックフライポテト 135g(Mサイズ) 3.37g 4.55g
山崎シュガーロール 45g(1個) 2.11g 1g
日清カップヌードル 77g 0.05g 0.3g
コーヒーポーション スジャータP褐色の恋人 5ml 6.47g 0.15g

まずダントツなのが「マックフライポテト/Mサイズ」ですね。これハンバーガーと併せた500円のセットだと約6g程度のトランス脂肪酸を摂取してしまう事になります。

次がやはり「ショートニング」ですね。クッキー4個(大きめ)ですが、ショートニングを使って作ったクッキーは100gで約4gのトランス脂肪酸を含んでいます。
あのサクサク感と長い保存期間にはこのようなトレードオフがあるのですね。

次にマーガリンのように何回にも分けて食べる食品は食パン一枚に塗る量をベースに計算しています。ここでも含有量が多い商品だと、食パン2枚にマーガリンを塗って食べた際には約1.5gのトランス脂肪酸を摂取することになるので、食パンや他の食材と併せたら朝食だけで厚生労働省がOKを出している1日2g以下という基準はオーバーしてしまう可能性が高いですね。

このように、食べ物によってトランス脂肪酸の摂取量は大きく異なるため、厚生労働省が発表している平均値というのは関係なく、皆さんが普段どのような食生活をしているのか?というのが重要なポイントである!という事です。

6. まとめ

いかがでしょうか?

様々な規制の多い日本ですが、トランス脂肪酸に関しての規制はガバガバなため、いまだにはびこっている事や、それがいかに体に悪いのか?という事がわかっていただけたかと思います。

トランス脂肪酸を多く含む代表格である「加工油脂」に関しては、以下の記事にも取り上げていますので、是非そちらもご覧ください。

関連記事「マーガリン」と「ショートニング」は危険な油!? 世の中の加工油脂を解説

国が教えてくれないのであれば、自分で興味を持ち、知識をつけて自分や家族や仲間の健康を守っていくしかありませんね。特に子供はファーストフードが大好きなので注意したいですね。

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