
1. 「悪い油」に対する日本の農林水産省のスタンス
2000年代から諸外国で始まっているトランス脂肪酸をはじめとした悪い油への規制。では日本はどうなのでしょうか?
日本の食品業界を管轄しているのは農林水産省です。その農林水産省ホームページの「トランス脂肪酸に関する各国の取り組み」にはアメリカがトランス脂肪酸の使用を禁止していることすら書かれていません。
健康被害があるとして各国で規制されているトランス脂肪酸ですが、日本では全くと言っていいほどの野放し状態なのです。
お国の状況がそんな感じなので、当然国民でもその危険性に気が付いている人は少なく、その証拠にNHKや民放テレビの料理番組では当たり前のようにフライパンで炒め物をする際にはトランス脂肪酸を含むサラダ油を使っています。
2. 日本の「食育基本法」
2005年に日本で食育基本法が施行されました。
それ以降地方自治体や小中学校をはじめとする教育現場でも食育への取り組みが行われるようになってきているものの、食品産業による食育への参画が目立ってきており、それに伴って問題が生じています。
中でも問題なのが、サラダ油をじゃんじゃん使用している某大手ファーストフードチェーンによる食育が行われているという現状です。まあ、お金出てますからね。企業から。
子供のうちに食育と称して刷り込んでいくという企業戦略なのはわかりますが、子供たちが健康上の被害を被るという現実を大人は理解しておくべきでしょう。
3. 日本のトランス脂肪酸の表示義務化
日本の食品栄養成分の表示に関する制度は消費者庁の管轄です。
その為、トランス脂肪酸を含む栄養成分の表示については消費者庁が決定をします。
民主党政権時代(2009年~2012年)の福島瑞穂さん
(内閣府特命担当大臣/消費者及び食品安全担当)はニューヨークでトランス脂肪酸を研究していた日本人研究者を消費者庁に招き、表示の義務化に向けて動き出していました。
しかし、民主党から自民党へ政権が変わるとこの動きも停滞してしまいました。平成23年2月21日に消費者庁で決定された「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針について」で
「トランス脂肪酸に関して食品事業者が情報開示を行うルールとなる指針を定め、トランス脂肪酸を含む脂質に関する取り組みを進めるよう要請することとした」
(消費者庁ホームページ掲載)
として表示の義務化はしていません。
取り組みを進めてねって要請だけしても・・・そりゃ企業はやらないですよね。めんどうくさいし。かける必要のないコストはかけないですよね。
4. 日本が表示義務化をしない理由
海外では規制や含有量の表示を義務付けられているトランス脂肪酸ですが、日本はなぜそのような動きをしないのでしょうか??
その理由・見解として、
「世界保健機関(WHO)が推奨しているトランス脂肪酸の摂取量が総エネルギーの1%未満に対して、日本では0.6%程度?の為」
「健康増進法に基づき表示の基準が定められている飽和脂肪酸やコレステロールと異なり、トランス脂肪酸に関しては表示の際のルールが存在しないので、食品事業者(メーカー)が積極的な情報開示に踏み切らず、今後情報開示が進んだ際に混乱が生じる状況となっている」
と記されています。
???
え?その0.6%とは誰の為の数字設定なのですか?
表示のルールが明確化されていないもののルールを設定するのがお国の仕事なのではないでしょうか?
このように大事な国民の健康を守ることが国家の重要な仕事なはずなのですが、日本政府は何故か実行に移そうとしていません。
5. まとめ
いかがでしょうか?諸外国では厳しめにトランス脂肪酸をはじめとする悪い油(脂)に関して規制や制限をかけているのに対して、日本は全然動けていないことおわかり頂けたかと思います。
では、何故?どのような力が働いて日本は規制をしていないのか?(できていないのか?)
是非、そちらの記事も併せてご覧いただけたらと思います。