
1. 欧米では規制対象のトランス脂肪酸
トランス脂肪酸は欧米ではもっとも危険視されている脂肪酸です。
アメリカでは2006年から加工食品の栄養成分表に総脂肪・飽和脂肪酸・コレステロールに加えてトランス脂肪酸量の表示を義務付けしています。
全米薬学協会が「トランス脂肪酸の摂取は極力少なくするべき」と提言したことを受け、アメリカ食品医薬品局が検討を行い、トランス脂肪酸の表示義務化を決定しました。
アメリカ食品医薬品局は、この表示の義務付けにより米国における虚血性心疾患の患者を施行日から3年後には毎年1200症例を減らし500人の死亡を防止できるものと試算しています。
2. 欧米の中でもかなり厳しめのニューヨーク!?
ニューヨーク市はその中でもかなり厳しいトランス脂肪酸への規制が行われている都市です。
2006年12月に市内24,600軒という大多数の飲食店に対して「食事にトランス脂肪酸を使うことを禁止する」という処置を発表しました。
2007年6月までにはパンやケーキ用のバター風味マーガリンを含むすべての調整食品からトランス脂肪酸を排除する事になりました。
ニューヨーク市保健局局長は声明で「ニューヨーク市民は有害な加工物を同意もなく知らないうちに食べさせられている」「トランス脂肪酸は心臓病の原因になる危険かつ不必要な成分。飲食店は努力すれば味や値段に影響させることなく代替品に切り替える事ができるはず。改善しない店が閉店しても誰も残念とは思わないだろう」と発言しています。
この動きは全米に広がり、アメリカ食品医薬品局は2013年11月にトランス脂肪酸の使用を原則禁止すると発表しました。
3. ヨーロッパ各国やその他の国の動き
ヨーロッパ各国でも国がトランス脂肪酸に関しては削減・追放の方向で動いています。
デンマークでは国内のすべての食品について油脂中のトランス脂肪酸の含有率を2%までに制限することを法律化してます。
また、ブラジル・アルゼンチン・ドイツ・オランダ・カナダなどではトランス脂肪酸の含有量をラベルに表示するという動きになっています。
4. アジア諸国のトランス脂肪酸のとらえ方
このようなトランス脂肪酸への規制はアジアにも波及しています。中でも日本のお隣韓国の動きは顕著です。
韓国では小学校・中学校・高校の給食で油脂類や糖類、食品添加物などの使用を制限し、コメを中心とする季節に合わせた旬の食材を用いることにより将来的な生活習慣病の予防策が講じられています。
韓国ではこれらは学校給食法で義務付けており、定期的なチェックで基準に達しない場合には給食会社や栄養士が処罰の対象になるほど徹底しています。
また、韓国政府は菓子や炭酸飲料、カップラーメンやハンバーガーといったいわゆるジャンクフードの類に対する厳しい規制も実施しています。韓国ロッテ、オリオンは自社全製品のトランス脂肪酸の使用を全面廃止。クラウン、ヘテ製菓もトランス脂肪酸ゼロ作業をほぼ完了しています。
2009年3月から小学校・中学校・高校とその周辺店舗でこれらの販売を禁止したり、2010年1月からは午後5時~9時の間はこれらの食品を製造する会社のテレビCMを禁止しています。
国家の未来を支える若者の弱体化を食から防ぐという考えですね。
※逆にいうと大人はまあいいや。とも受け取れますが・・・
年を取るほど健康に気を使わせるという日本とは逆ですね。
5. まとめ
いかがでしょうか?諸外国では2000年後半から2010年代にかけてかなり厳しめにトランス脂肪酸をはじめとする油(脂)に関して規制や制限をかけているようですね。
「油(脂)が悪いと引き起こす病気は国家にとってマイナスである」
というジャッジをしているのですね。是非日本も見習ってほしいものです。